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今回お伝えするのは、モラハラというものが離婚の理由になるのかということについてです。
離婚は大きく分けて、協議離婚、調停離婚、裁判離婚に分けることができます。
このうち協議離婚と調停離婚は基本的にお互いが内容を合意できれば離婚成立になりますから、離婚の理由についてはあまり問われません。なぜ離婚したいのかという理由は何であってもよく、お互いがそれで合意ができればいいということです。
大事なポイントとしては裁判になった時です。裁判になってしまうと法律で決められている離婚理由があるかないかによって離婚が認められるか認められないか判断が違ってきます。
そういう意味で、今回お伝えする「モラハラを理由に離婚できますか?」という問の意味は、「裁判になった時にモラハラを理由として離婚が認められますか?」という趣旨でご理解いただければと思います。
法律的には、抽象的な規定ですが「婚姻を継続し難い重大な事由がある場合」、つまりもう結婚関係を続けていくことが困難であるという事情がある場合には、離婚が認められることになっています。
非常に難しい問題として、たとえば性格の不一致で「どうもあの人とは性格が合わないから別れたいんです」というようなケースでは、なかなか離婚理由であるとはいえません。
ではこのようなケースで離婚するためには何が必要かといいますと、一定期間の別居などが必要になるケースが多くなります。
では、モラハラだったら別居期間との関係も含めてどうなるのかというところですが、結局、モラハラの内容が問題になってくると考えられます。
モラハラの事例としてよく紹介される精神的に侮辱的な発言ですと、正直に申し上げて離婚理由として認められるのは難しいのではないかと思います。
なぜかというと、日常的なやりとりの文脈の中で出てくる問題ですから、その一言一言を取り上げて、「こんなひどい暴言がありました、だから離婚したいんです」と主張しても、なかなかそれだけでは裁判所としては離婚理由とは判断しにくいと考えられるからです。
「死ね」とかそういうことを日常的に言っているような場合は別ですが、ただ単に「お前はバカだな」等(そのくらいの発言がひどいかどうかは別として)、それだけではななかな難しいと思われるところです。
ですので、そういう意味で考えると性格の不一致と同じような扱いを受けてしまうので、離婚するためには別居期間を重ねて離婚を認めてもらうという方針になるでしょう。
他方で、よく女性によるモラハラの例として挙げられているものとして、「精神的な不安定さが非常に強くて飛び降り自殺をしようとしてしまう」とか、「リストカットが止まない」とか、場合によっては「夫に向けて包丁を持ち出してくる」といった行為が度重なっているというケースがあります。このようなケースでは、具体的な行動の中身等をふまえて主張することで離婚が認められてくる可能性もあるのではないかと思っています。
結局のところ大事なポイントとしては“酷さ”を証明できるかというところです。
もちろん現場にいるみなさんは「こんなに辛い思いをしています、わかってください」という思いを持たれることはよくわかりますが、裁判所にその酷さを端的に伝えてそのことをわかってもらい、それをちゃんと証明するというのは、やはり日々の一幕一幕の中のことなので、なかなか難しいなと正直思っております。
ですので、その酷さをどういう形で立証するかというのは、今後、我々弁護士も考えていかなければいけないところですが、とりあえず端的に「離婚できますか?」という問にお答えすると、やはり酷さをきちんと証明していければ離婚理由として認められると場合も十分あるだろうという回答になります。
ただ、酷さを証明することが厳しい場合、性格の不一致という扱いを受けてしまう可能性があります。また裁判官にもモラハラの理解が乏しい人も結構います。
そのような場合では、きちんと「別居」という事実を積み重ねて破綻を基礎付けるということが大事になってくるでしょう。
これからますますモラハラという問題は増えるだろうと私は思っています。
モラハラの人と和解をするとか調停を成立させることはかなりハードルが高く、訴訟まで行ってしまうケースもかなり多いので、モラハラの“酷さ”もだんだん裁判所に伝わってくるだろうと思います。
ただ、今の時点では、モラハラだけで当然これは離婚が認められるというところまでは達していないというのが現状であると考えております。
裁判での離婚となると難しい部分もありますけれども、きちんと闘って最終的に離婚を勝ち取るために何ができるのかというあたりについては、もしよろしければぜひご相談いただければ一緒に考えさせていただいて、闘わせていただければと考えております。
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